ACOUSTAT MODEL3 SLIMLINE レストア その壱
 いよいよACOUSTATのレストアに着手です。 このスピーカーについては、「ACOUSTATのこと」をご覧ください。 外観やネットを下した状態はそちらで見ていただくとして、早速レストアの様子に入るべきとは思うのですが、その前に、レストアを始めた理由を書かせてください。

 現在、このスピーカーは、正常とも思える状態で鳴っています。 もう一台の MODEL3の方が、各ユニツトの音圧が不均一な感じで、むしろそちらのレストアが必要ではないかと思います。 しかし、MODEL3は大きくて、なんとなく気後れしてしまい、SLIMLINEの方が練習台としてはいいのではないか、と思った訳です。 どちらのモデルにしても経年劣化があるはずですので、レストアすればオリジナルの音に戻るのではないか・・・オリジナルはどんな音なのか・・・等々、レストアについては、ずーーっと心に引っかかっていました。
という訳で、特にきっかけがあった訳ではないのですが、この際、思い切って始めた、という次第です。 もう一つ裏の理由としては、もしSLIMLINEのレストアに失敗して修復不能となっても、MODEL3があるからいいや、というのも正直あります。

グリルネットを下して改めて眺めてみると、中央のユニットは正面から八本のビスで本体フレームに付けられています。 そして、左右のユニットは、中央寄りは正面から、両端は裏からビス止めされています。 左右は、中央を外さないと外れないように見えるので、手始めに中央のユニットを外すことにしました。

  この時点では、ビス止めなのか、アンカーが埋  まっていてボルト止めなのか不明でしたが、緩め てみると、かなり太いビス止めでした
  ビスには、恐らく、樹脂製のユニットを傷めない  ためのポリエチレン(?)製の座金(樹脂製でも座金と言っていいのでしょうか ?) が嵌めてあり、タップ部分には、リーク防止のためでしょうか、ビニール
のチューブが嵌められています。





 ビスを外し、配線をインターフェイスから全て引き出したらこんな感じでした。

 この時点で、信号線と高圧線のユニットへの接続方法に驚きました。 QUADやSTAXのように、ユニットに端子があって配線が半田付けされているのかと思いきや、何と、ユニットから直接、線が出ているではないですか。 特に驚いたのは信号線です。 信号線がユニツト内を折り返しなか゜ら上下しているのがACOUSTATの特徴なんですが、その線がそのまま外に出てきているのです。 つまり、変なところでこの線を切ってしまうと、かなり大変なことになる、ということです。 高圧線も端子はなく、線がそのままユニット内に入り込んでいるのですが、こちらの、導電剤に給電する方法は、開けてみれば判ることで、大した問題ではなさそうです。


 この後の作業性は悪くなりますが、変に線を短く切らない方がよさそうなので、インターフェイス内で差し込む端子ギリギリのところで、計九本の線を切断し、まずは中央ユニットを取り外しました

 外してみて、改めてユニットを眺めると、かなり長いのでゲンナリしました。 測ってみると、116cm×20cmもあります。 これは、フィルムを貼るフレームを作るのも、フィルムを貼るのも、導電剤を塗布するのも、相当大変そうです。

 最初に確認したのは、ユニット前後の貼り合わせ方です。 ウーーーム、どうやら接着剤を使っているようです。 これも始末が悪そうです。 写真は角の部分の側面のものですが、ポリエチレン(?)製の格子状のフレームの内側に、テフロンではないと思うのですが、似たような見た目の樹脂の枠が入っているようです。 この造りはSTAXと同じ手法です。

 このユニット前後を剥がさないと始まらないのですが、失敗は許されません。 色々と試したのですが、強固に接着されていて、ちょっとやそっとでは剥がれてくれませんでした。








 最後の手段です。 彫刻刀の刃を立て、ハンマーで叩きました。 無理やり刃先を打ち込んでフレームを割ってしまっては取り返しがつきませんので、慎重に、少しづつ・・・少しづつ・・・です。
 全長合計272cm・・・結構神経を使う作業でした。


  第一回はこの辺で・・・








トップページに戻る